out of memory

牛乳のパックに突き刺さっているストローをくわえながら、ボーッと外を眺めている。

ひよりが死んでからもう4日が経ち、皆“クラスメートの死”を忘れてきていた。

ただ一人、俺を除いては。

「久我ー。大丈夫かよ、本当に」

肩をツンツンつつかれて、俺は振りかえる。

そこには友達の中谷 慎一郎が後ろの席で言っていた。

「…ああ、うん」

俺はテキトーに返事をすると、また前をむく。

すると、中谷が席を立って俺の机の前に寄りかかった。

「ひよりちゃんと久我はすっげ仲良かったもんなぁ」

「…だったな」

正確には仲が良いとかそんなんじゃない。

ただいつも一緒にいるだけだった。

「ひき逃げなんだろ?ひよりちゃん」

中谷が言って、俺は頷く。

「俺と別れたあとだ…アイツが轢かれたのは…」

何かが喉の奥から込み上げてきて、自己嫌悪に侵される。

中谷は必死に励まそうとしてくれるが、励ましなんかじゃどうにもならないと察したのか、わざと明るい声で俺の頭をポンポン叩く。

「今日吉田家の牛丼奢ってやるから!元気出せって!」

「……さんきゅ」

俺はちょっと笑顔を作って礼を言う。

中谷は他の友達に呼ばれ、俺の側を離れていった。