『これから君は1ヶ月間に渡って、楽しむことができなかった一ノ宮 ひよりとの生活を楽しんで頂きます』

頭の中で、昨日天使が言っていた言葉を思い出した。

俺は頬杖をつきながら窓の外を眺める。

ひよりが陸上部だったことから、外見るのが癖なっている。

ダメだ。完全に俺はひよりに依存していた。

前の前の前の右の席がひよりの席だ。

ひよりは死んだのだが、天使たちのおかげで、ひよりとの生活の再生ができるようになった。

『ですが君たちの生活が1ヶ月を過ぎると、君は死ななければなりません』

『は?!なんで!!』

『当たり前ですよ。人を生き返らせるのをタダでやれって言うんですか?代償くらい払ってもらわないと』

今思い出しても心に引っかかる天使の言葉。

『1ヶ月過ぎれば勝手に体が動かなくなりますから。そしたら僕たちが迎えにきます』

『なんだそれ……』

理不尽すぎるだろ。お前に直接生き返らせてくれ、なんて言ってないのに。

『勿論拒否も可能です。拒否しますか?』

俺はそこで、何故か考えてしまったんだ。

このままひよりと1ヶ月を過ごせる。だけど俺は死ぬ。

ひよりを天国に戻らせて一生会えない。だけど俺は長生きできる。

迷ってしまう俺にもどかしさを感じた。

『俺は……』

俺が答えかねていると、天使はニコッと笑った。

『1日だけ期間を差し上げます。明日の夜12:00になっても答えが出なかったら、一ノ宮 ひよりを連れていきます』