out of memory

キラキラと大きな瞳を輝かせながら、ひよりが笑いかけてくる。

「秋人、先に帰ったって聞いたから急いで追いかけてきたんだよ?」

「え、あ、ご、ごめん」

挙動不審になりながら受け答えをしたからか、ひよりは心配そうな顔をしていた。

「どうしたの?中谷くんと喧嘩でもした?」

「い、いや……」

俺は急いで制服のポケットからスマホを取り出した。

電源が何故か入っていなくて、電池がないのか電源が入らない。

俺は震える声で、ひよりに聞く。

これは夢なんだ、俺の幻想だ、ということに気がつきたいのに。

「ひより…今何月何日…?」

すると、ひよりは右腕にしていた腕時計を見る。

「7月29日。そういえばもうすぐ夏休みだね!」

7月29日?おかしい。今は9月のはずだ。

もうすぐ冬服になるとか担任が言っていたし。

「もー。なんなのさっきから。変だよ秋人」

眉をひそめながらひよりが言う。

今ひよりに何か言ったら、この夢から覚めそうな気がする。

『これは夢なのか?』

そう聞いちゃいけない気がして、俺は「なんでもない」と言って、ひよりと一緒に家に帰った。

中谷がどこにいるのかは、分からないままで。