「「戻してやるよ」」

頭の中で低くて暗い声が重なるように聞こえた。

俺の足がはたと止まる。

「久我?」

中谷が振りかえって声をかける。

誰だよ、今の声…。

その瞬間、ザァッと大きな風が吹いて、木についていた葉っぱが一気に取れた。

すると、背中を何かが這ったみたいに、寒気が走った。

「えっ……」

「「やりたかったことをやってこい」」

また低くて暗い声が頭の中に響く。

「なんだよこれ…!中谷!」

中谷を振り返ると、そこには何故か中谷がいなかった。

「なかた…に…?中谷!どこ行ったんだよ!中谷!」

時間も場所も変わっていない。

中谷はどこ行ったんだよ。