『気にしなくていいからね、久我くん』

ひよりが荷物をキャリーバッグに詰めながらベッドに座っている俺に言った。

俺はちょっと黙ってから、

『ああ…』

とだけ言った。

気にするな、と言われても、あんな修羅場目前にしたらちょっと気を使うに決まってるだろ。

俺は今ふと思ったことをひよりに問う。

『なんで俺なんだ?俺より仲いい男子とかいるだろ?今まで一回も話さなかったわけだし』

すると、ひよりがニヤッと笑ってこっちを振り向いた。

『だって男子の友達に言ったら、重い奴って言われそうじゃん?だけど、さっき久我くんがリスカしてるの見て、クラスの人たちに言いふらすぞーって脅せば彼氏役でもなんでもしてくれるかと思ったから。そして案の定』

腹黒い奴だ。

俺はハハッと苦笑い。

『でもこれでクラスの奴には言うんじゃないよな?』

『もっちろん♪これで私たち、友達になったんだしね』

いやそれは初耳でございますが。