out of memory

赤い夕日が俺たちを照らす中、俺たちは丘の上で突っ立っていた。

俺は自転車を傍らに持ち、ひよりは、スクバを肩からかけ、黙っている。

あまりの沈黙に耐えきれず、ひよりの方を振り向くと、ひよりもこちらを見ていた。

そして、赤く染まった頬を夕日の光で更に赤くしながら、白い手を差し出してきた。

「秋人…一緒に歩いてあげるよ?」

俺は透き通るようなひよりの声に胸がドキドキしっぱなしだ。

俺がなにも言わずに下を向いていると、ひよりがスッと俺の手を握ってこようとする。

パシンッ。

軽い音が響いて、俺はいつの間にかひよりの手を振り払っていた。

振り払ってからハッとし、ひよりの顔見た。

目には涙をためて、「何で?」という表情。

俺は焦って自転車に飛び乗ると、坂をそのままかけ降りた。

一回も振り返らず、一回もひよりのことを考えないように。