蜜は甘いとは限らない。【完】





豪快に笑い、嵐川さんの肩をバンバン叩くおじ様をよく見る。




...似てるような、似てないような...?




どうやらあたしは少し、じっと見すぎていたようで、そんなあたしに、





「なんだい、お嬢さん?
俺の顔になにか付いていたか?」




首を傾げながら近付き、あたしの髪に触れる。

どうしよう、キモい。




「あ、いえ。
素敵なお方だと、思いまして...」

「はははっ
まさかこの歳になっても言ってくれる奴が居たとは!」




今日はお嬢さんに出逢えたし、いい日だ。




ニカっと白い歯を見せて笑ったこの人を見て、思った。




こいつ、めちゃくちゃ猫被ってる。
って。


そして、この人は絶対に。





アイツ(寺島)の親父だと!!!





だって目が物語ってる。

アイツと同じような目をして、他人と接し猫を被る。




だけど内心は、

《俺が素敵だとか、なに当たり前のこと言ってんだよ。
この女》




...みたいな。