…理由ってなんだよ。




さっきまでの俺に詰め寄ってきていたのと違い、余裕そうな笑みを浮かべる葵くん。



本当、この姉弟は何を考えているのかが分からない。全く。




「...なんなんだよ。その理由って」

「...それは、自分で答えを見つけてよ」

「...。」




やっぱり、分からない。

目の前で微笑む葵くんは、どんな思いで今この場にいるのだろう。





「教えては、くれないんだな」

「当たり前。そこまでしか姉貴が話をしなかった相手だし。

多分、俺から言っちゃいけないことだから」





少しの期待を持った言葉にも、首を大きく振ってNOと答える葵くんに諦める。

...そういえば。





「理由が分かってたのに、なんで俺と話をしたんだ？」

「それは、あんたが姉貴にとってどんな存在なのかを知りたかったからに決まってるだろ？」

「...決まってるのか？」

「もちろん。
だって俺の大切な“家族”だし？」