とりあえず簡単に自分の説明をすると警戒心剥き出しでも、頷いてくれた。
...よかった。
2人だけで会話していると、視界の隅で何かが動いた。
なんだ?
視線を少し横にずらして見る。
...見えたのは、俺たちに手を伸ばし固まるさっきの男。
「...俺には、してくれないのか」
目が合うと前に伸ばしていた手を下ろし、聞いてきた。
当たり前、
「しない」
そんなの、舞弥本人が言ってないのに他人である俺からなんて、言える訳がないだろ。
「...葵、後で俺にも教えろよ」
「嫌だ」
葵くんも口止めされているのかそれとも本心か、聞いてきた男に即答する。
...悪いけど、ちょっと笑える。
青筋を立てて怒っているのが見て分かっているのに、それをからかう葵くんは何か凄い。

