「…ほっとけ」
「姐さんに見られて、いんですか」
「……チッ」
…うるせぇと言い返せない。
舞弥が乗っている便は後数分でこの空港に着く。
それが分かっている俺は待ちきれなくてウロウロと同じところを歩き回っていた。
こんな時にじっとしてられるわけねぇだろ。
やっと、自分のモンが帰ってくるって時に。
「あ、わ…頭」
「んだよ?!」
「あれ、」
「あ?……っ、」
「あれ、拓哉、来てくれてたの?」
…短かった茶の髪は腰の当たりまで伸びていて、
白かった肌は向こうで焼けたのか少し赤くて、
「舞弥っ」
…あぁ、やっと帰ってきた。