蜜は甘いとは限らない。【完】





息子がいるって知った途端、飛びついてくるわよ。

白神よりも寺島の方が立場は上だろうから。



それにしても葵がそんなことを考えていたなんて。

…葵は、そういうことをちゃんと分かってる子だと思ってたのに。




「とりあえず、もう一度言うわよ?」

「え、」

「だって、信じてくれないから。

あたしと結婚してください」

「っ、」

「…何か答えなさいよ、聞こえてるでしょ」

「…やだ」

「はぁ?!何言って、」




ぐいっ






「…俺と、結婚してください」





チュ……




あたしのプロポーズの言葉に首を横に振った寺島に掴みかかろうとした手は掴み取られ、腰を強く引き寄せられた。


かと思えば耳元で呟かれ、終いにはキスを落とされた。