蜜は甘いとは限らない。【完】





「だ、大丈夫なの?」

「ま、て、近寄るな!」




あまりにも赤すぎるその顔が心配になって近寄っていけば、あたしから離れていくように後ずさっていった。


なんで。



口を片手で覆って「あー」とか「うー」とか言いながら反対側の空いている手で赤い顔を仰いでいた。


…それで顔の赤みが収まるとは思えないんだけど。




「…ふー、」

「…やっと、落ち着いた?」

「まぁ、少し」




それを暫く続けたやっとましになった顔を見て、ちょっと安心した。




「……なぁ、さっきのは本気で言ってんのか?」




話し方もだいぶ落ち着いたらしい寺島が言う。

てか、そんなことで嘘を付くわけがない。