蜜は甘いとは限らない。【完】






ギュッと目を閉じて返事を待つあたしに返ってきたのは、待ち望んでいた言葉。





……こんな女のことを、ずっと好きでいてくれてありがとね、寺島。




「寺島さん」

「…なんだよ」

「…よければ、」




だから今度はちゃんと答えるから、あたし。




「よければ、あたしと結婚して、くれませんか?」




自分の気持ちにもう、嘘はつかないって決めたから。




「…………は?」



あたしの言葉の後、たっぷり間を開けて聞こえてきた返事は寺島らしいものだった。



「何、一度じゃ聞き取れなかった?」



もしそうだったら、あと一度くらいなら言えるかな。と思い顔を見ていると、寺島の顔がさっき口を塞いでいた時よりも赤くなっていった。