蜜は甘いとは限らない。【完】




懐かしくなったあたしはヒールを脱いでブランコに立ち軽く漕いでみた。


ヒュッと耳を切る空気の音で更に懐かしみが増すけど、さすがに大の大人が嬉しそうにブランコに乗ってるのはどうかと思ったから、直ぐにヒールを履き直して座った。




「…こういう所って、久しぶりに来るとかけがえのない場所に感じるわね」

「まぁ……そうかもしれないな」




確かにこんなに余裕を持ってここに来ることなんてなかったし。



…なんだかんだ、組の若頭という役職は忙しいものらしい。



そう考えてみれば家に行っていた時もご飯の時しか顔を見なかったような気がする。




「………それで?話があんだろ」