「ねぇ寺島、ちょっと歩かない?」
おじいさんと別れた寺島はが車のキーを振り回しながら歩き始めたから、急いで足を止めようと声をかける。
その声で止まった足を見て安心したあたしはこの近くにある公園の方向を指さす。
「…あぁ、」
…とりあえず笑おうと思って作った笑顔はこれまで生きてきた人生の中で一番酷い出来だっただろう。
頬がやけに、引きつったから。
それに明るい声とは違い低い声が出た。
…これじゃあ今からどんな話をするのかはバレバレだ。
案の定、寺島の顔がきゅっと引き締まった。
「…確か公園あったよね?」
「あるぞ、結構小さいけどな」
「そうなの?」
「行ったことないのか?」
「うん。あるのは知ってたけど一度も」
「ふーん…」

