蜜は甘いとは限らない。【完】





「え、あぁ。それじゃあ帰るか?」





パタリ、あたしが待ちきれなくて声をかけた事で終わらないと思っていた言い合いは止まった。



…そんなことならもっと早くに声をかけてれば良かった…。



てかどれだけ一方的に喋ってたのだろう、おじいさんの顔が初めの時と違って少しやつれたように見えた。



単純でも馬鹿をからかうのには体力がいるわけね。
お疲れ様です。




「おい、舞弥?」

「え、何て?」




じっとおじいさんを見ていたあたしの顔の前で寺島が手を上下に振る。

何て言ってたっけ?




「だから、帰るかって」




もう一度聞き返せば眉を寄せながらも答えてくれた。