「んー、んーっ」
「…あ、忘れてた」
苛立ちを手を握りしめることで我慢しようとすれば、口を塞いだままだった寺島が暴れ出した。
まぁ鼻も途中から塞いでいたから、無理もない。
手を退けて鼻と口を開放してやれば、一気に酸素を吸い込んでいた。
あれ、そんなに苦しかった?
顔をのぞき込んで見れば顔が真っ赤だった寺島に久しぶりに悪いことをしたように感じてしまった。
「おま、殺す気か!」
「殺すわけないでしょ。
それにあんたを殺せばあたしがあんたの部下に殺られる」
「サツでも一緒だろ!」
「一緒じゃないわよ。
皆に殺される方が嫌だわ」
「ヒャハハッ肝の座ったお嬢ちゃんじゃねぇか!」
「「笑い事じゃない!」」
「ヒーっ腹痛ぇ!」

