蜜は甘いとは限らない。【完】




……さようですか。




1人荷物を持たずにさっさと歩いて行ってしまう里愛さんを、急いで最後の一口を飲み干して代金を払い、追いかける。




「チッ、見失った」




飲み干すだけの時間ならまだしも、代金を払う時に少し時間をとられたから里愛さんを見失う。



(どこに、いるんだろ…)



キョロキョロと左右を見渡しても、里愛さんらしき姿は見えなくて。


重い荷物をとりあえず里愛さんの護衛のはずがあたしと一緒にはぐれた、寺島の家の人に渡す。



これで少しは動きやすくなった。




「里愛さん……」




動きやすくなったあたしはあちこちを歩き回りながら、里愛さんに電話をかける。


でも、いつもは直ぐに電話に応じる里愛さんなのに、今はなぜか反応てくれない。



なにか、あったのだろうか。



機械音しか聞こえないケータイから少し耳を離して周りを見渡す。



あっ



「里愛さっ………!!」