蜜は甘いとは限らない。【完】




絶対だぞ。






最後にそう言って、通話は切られた。




通話が切れてからも、暫くはその通話が切れたことを知らせる無機質な音の聞こえるケータイを、耳に当てたままじっとしていた。





…はぁ。




ため息をつくのと同時にケータイを話せば体の力が抜けて、床に寝転がる。





「…疲れた…」




この後、葵に話をしに行かなきゃいけないのに。



もう一度ため息をつきながら両目を両腕で覆う。



……あの時、今度話するなんて言わなければよかった。

なんて今更後悔しても、遅いんだけれど。




………行くかな。




よいしょ、と床に手をついてゆっくり立ち上がり、葵の部屋に向かう。