よいしょ。




声には出してないけれど、ベッドに座り直す。




なんだ、奥様はちゃんと居るんだ。





「はっまだ遊びの女か?
またこの間みたく昔の女に刺されかけても知らねぇぞ」

「ざけんな。
あの女は前に一回抱いてやっただけだ。

勘違いして俺を刺そうとしたあの女、殺してやろうかと思った」





...奥様...なんて、そんな良いものがこの男にあるわけが無かった。



といっても、親子揃って俺様な性格の2人だけど、女に困ることはないんだろうな。

スタイル、顔。
両方共、ずば抜けて良いこの二人には。




「どうでもいいから、早く帰ったらどうですか」




だんだん苛立ってきたあたしは敬語はそのままに少し言い方をきつくしてみる。



だって、ウザイ。




女をなんだと思ってるんだろう、この人たちは。




「...急に偉そうになったな、舞弥」

「いい加減、面倒なんですよ。
あと、名前教えてください」

「(話が逸れた...)さっき名刺渡しただろ」

「見てません」

「...チッ、寺島隆哉(たかや)だ。
くそ、自分からは言いたくなかったのに」

「ふっ親子、ですね」