言いたいことだけ言った嵐川さんは、寺島のジジイの方に向き直って笑みを浮かべる。
「まあ話をするだけだ。
そんなに長い間お嬢さんを借りるわけじゃない。
それじゃあ、行こうか」
「はい」
娘を心配しています。
みたいな顔を作り微笑む嵐川さんの嘘に気付いてるはずの寺島のジジイは笑い返した。
…あたしと嵐川さん関係を、分かっているのだろうか。
「それじゃあ、車に乗って」
「はい」
外に出ると、もう既に車があってそれに乗る。
「…ふぅ、やっと普通に話せる」
「…やっぱり、猫被ってたんですね」
「あ?気付いてたのか?」
「貴方に、そっくりな馬鹿がいるもので」
「俺をその馬鹿と一緒にするのか」
「もちろんです」

