棒つきの飴を口の中で転がしながら俺は、いつもの帰り道を歩いていた。
いちごの甘い味が一段と甘く感じた。
俺はその飴を噛まずに舐め続けて、家の近くにある公園の中へと入った。
入るまで中の様子が窺えないほど、周りを木で覆われているので、心持ち緊張していた俺はブランコで遊ぶあいつを見て呆れてしまった。
「いるとは思ってたけど…童心に帰って、遊ぶことないだろ」
「良いでしょ、私、ここ気に入ってたんだから」
肩をすくめて、俺は空いているブランコに座る。隣で大きく半円を画いていたブランコが徐々に緩慢な動きになっていき、茉莉奈は足を地面につけて止まった。
「私にも、飴ちょうだいよ」
「ん?ああ、はい」
手を出している茉莉奈に、俺は鞄から棒つきの飴を出して渡した。いちご味しか持ってないので、当然それもいちご味だ。
「相変わらず、いちごの飴好きなんだ」
子供っぽいとでも、言いたいのかよ。まぁ、その通りだけど。
茉莉奈は包装紙をはがし、飴を口の中に放り込むとまた足を蹴ってブランコを漕いだ。地面の落ち葉が風に煽られ、カラカラと音をたてていた。



