大好きなんです




あたしを見てますます霧谷くんは不思議そうな顔になる。



「そう?それならいいけど……はぁ、あつ」



そう言って霧谷くんは上着も脱いだ。



うん……秋とはいえ今日は晴れた天気のいい日。


霧谷くんの服装は動きにくそうだし、あれだけ走ったし……


それに、あたしを抱えていたわけだし……



暑い、よね。



「き、霧谷くん大丈夫?あたし飲み物買ってくるね」



多分…いや、絶対にあたし重かったはずだし。


うぅ……申し訳ない。


こんなことになるならダイエットしておけばよかったよ……



「萌、いいからこっち来て」


「え、でも……」


「いいから」



手招きする霧谷くんに少し戸惑いながら近づく。


本当に飲み物よかったのかな……



「霧谷くん、どうしたの?」



霧谷くんは座っているから、自然と立っているあたしの方が目線が上になる。



き、霧谷くんが上目遣い……新鮮すぎる。



いつもよりもドキドキする心臓に気づかないフリをして霧谷くんを見つめる。


確かにいつも霧谷くんといるとドキドキするけど……今日は本当にドキドキが止まらない。


執事服ってすごいなぁ…



「萌、さ。誘ってる?」


「……誘う?」



何を?と思ったけどすぐに文化祭のことを思い出す。



「あれ?あたし霧谷くんにいっしょに回ろうって誘わなかった……?」



もしかしてあたしの妄想だったのかな……だとしたら相当恥ずかしい。


勝手に霧谷くんといっしょに回れると勘違いしていたなんて……



「そうじゃなくて……」


「?」


「はぁ……」


「??」



頭の上に"?"を浮かべて霧谷くんを見る。



「その服とか」


「服?」


「足、丸見えになるでしょ」


「あ、うん……でも慣れたら思っていたよりも大丈夫だよ?」