今日、朝にほんの少し会っただけだし……
霧谷くん……会いたいよ……
「だ、大丈夫だって!霧谷が萌のこと忘れるわけないじゃん、ね!?」
「そうですよ。心配ないですって。兄貴あんな顔して萌サンにベタ惚れですから!」
「うん……ありがとう」
とは言ったものの、やっぱり不安……
「あー……あ!ボクが電話してみますか?」
「その手があったわね。ナイスよ弟!」
「優ですよ、夕希サン」
苦笑して優くんはポケットからケータイを出してきた。
……そう、だよね。
電話すれば霧谷くんの場所も分かるし、あたしがこんなに暗いんじゃ二人に心配かけちゃう。
「うん……優くん。お願いしてもい……」
「い?」の言葉を言い終わる前に回りから女の子の悲鳴が響いた。
『何、あの人!?ちょーイケメンじゃない!?』
『え、あんな人この学校にいた!?』
『ね、声かけてみようかな?』
『やばいよぉー!!』
「…………」
何、この悲鳴?
あたしとゆっちゃんと優はお互い顔を見合わせた。
この悲鳴(?)はどんどんこの教室に近づいてくる。
なっ、何!?
今から何が来るの!??
あわあわとするあたしと意味が分からなさそうなゆっちゃんを余所に、優くんは納得したような顔をしている。
「大丈夫みたいですよ、萌サン。王子サマ、来たみたいです」
「ほぇ?」
がらりと教室の扉が開く。
「おっ。桃ちゃんに夕希ちゃん、はっけ〜ん!」
「み、峰くん?」
ひらひらと手を振りながら峰くんはこちらに来た。
どことなく顔がにやにやしているような……
「あ。優も来てたの」
「陸真サンが呼んだんじゃないですか」
「まぁな」
にやり、と峰くんは笑顔を濃くする。


