大好きなんです




チャイナ服なんて初めて着たなぁ……


歩くたびにスリットから足が出るのが少し気になる。


そのうち慣れるかな?



「よし。じゃあ髪結んであげるね」


「うん!お願いします」



あたしはゆっちゃんの前にちょこん、と座った。



「動くし簡単にサイドでいい?」


「うん。ゆっちゃんに任せるね」


「了解」



ゆっちゃんはどこから持ってきたのかコテで髪を緩く巻き、手早くサイドに結んだ。



「これ、チャイナ服と絵柄が似てるでしょ?絶対に似合うと思ったんだよね」



自分の姿が見えないからなんとも言えないけど……ゆっちゃんがそういうんならそうなんだろうなぁ。



「はい、終わり。教室戻ろ」


「うん!」



にこにことしながらあたしとゆっちゃんは更衣室を出た。



教室に戻るとケータイが光っていて、霧谷くんからちょうどメールがきた。



「霧谷から?」


「うん。もう学校にいるの?って」



あたしは霧谷くんに教室にいるよ、とメールを返した。



「じゃあ今から来るわけね。……楽しみだわ」


「え?何か言った?」


「別に何も」


「?」



変なゆっちゃん……



それにしても視線を感じる。


いつの間にか男の子も結構来ている。



ゆっちゃんモテるからなぁ……


今さらあまり気にしないけどね。



しばらくゆっちゃんと話をしていると扉が開いた音がした。


そちらに顔を向けると……



「霧谷くん、と峰くん……?」



あれ、なんか朝から霧谷くんが不機嫌そう……



「ぶっ……霧谷、分かりやすすぎ…っ」


「ゆ、ゆっちゃん?」



なんでそんなに笑ってるの??


隣にいる峰くんも笑ってるし……


霧谷くんは…表情はいつも通りだけど、どことなく怖い……?



霧谷くんは衣装を受け取ってからこちらにきた。