啄むような優しい霧谷くんのキス。
恥ずかしい……でも嬉しい。
けど…ちょっと、苦しくなってきた。
ぽんぽんとそれを知らせるように霧谷くんの背中を叩く。
「っ、は」
唇が離れるとすぐに酸素を求めて口を軽く開ける。
しかしその隙間からは霧谷くんの舌が入ってきた。
「んっ……ぁ………」
いつもより何倍も甘いキスに脳がくらくらする。
無意識のうちに声がもれてしまう。
苦しい……
頭がぼーっとしてくる。
でも……
ぎゅっと霧谷くんの背中に手を回す。
やっぱり、嬉しいんだ……
名残惜しそうに二人の唇が離れる。
あたしは酸欠でぼーっとした頭のまま霧谷くんを見つめた。
「これで、もう残念じゃない?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて霧谷くんはあたしを見る。
「…うん」
恥ずかしかったけど、嬉しかったから……
あたしは素直に頷いた。
ぎゅっと次はあたしから霧谷くんに抱きつく。
今、あたしの顔赤いと思うから、見られないように霧谷くんの胸に顔を埋める。
霧谷くんもぎゅっと抱きしめ返してくれた。
なんか、安心するな……
そっと目を閉じると体から力が抜けていく。
「萌?」
霧谷くんの声が遠くに聞こえてから、あたしの意識は途切れた。


