『ん〜〜、いいよ?』
へらり、と笑ってあたしは返事をしてるけど……
何度も言います。
まったく覚えていないです。
『分かりました』
霧谷くんはあたしの返事を聞くや否や、あたしの顎をつかみ上に向かせた。
って、えぇ!!
待って、待って!
ここここ、これって!!
はっとしてゆっちゃんと峰くんを見ると、二人は気持ち悪いぐらいにんまりと笑っていた。
『きりやくん……?』
『萌がイケナイんですよ?』」
「……っ!!」
あたしの焦りとは裏腹にテレビは進んでいく。
「みみみみ、峰くん、これ止めることって……」
「はい、却下〜♪」
こんなに峰くんを恨んだのは初めてかもしれない。
「萌、大人しく見てなさい」
いつの間にか後ろに回っていたゆっちゃんが、あたしの肩の上に手をのせる。
う、動けない!!
後ろからの無言の圧力が怖いよゆっちゃん!!
ちらりと霧谷くんを見るけど反応がない。
『きりやく……んっ』
「……っ!!」
い、いやああぁぁぁ〜〜〜っっ!!!
顔から本当に湯気が出ちゃうんじゃないかってぐらい、今あたしの顔は赤いと思う。
だって、テレビの中のあたしと霧谷くんがきっ、キスしてる!!
予想はなんとなくできちゃったけど!!
けどっ!!
『んんっ……ふっ、ぁ……』
「〜〜〜っ!!!」
こんなに深いキスはしたことない。
そりゃ付き合ってますからそれなりのはしてますけど……
自分の声がこんな感じだなんて……信じられない。
なんか、いっいやらしいんだもん!!
あと長い!!
あたしどのぐらいキスしてたの!??
こんなのがこの部屋にいた人たちに見られてたなんて……恥ずかしすぎて今なら死ねる。


