「あれお酒だったの!?」
気づかなかった!!
「萌だけよ」
「えっ!?」
「桃ちゃん鈍感だからねぇ」
「うっ…」
そういう口調をするってことはゆっちゃんも峰くんも気づいてたんだね。
言ってほしかった……
『おいおい、待てよ。後から来て横取りとかはねぇんじゃねぇの?』
『……は?』
『もともと萌チャンはオレが狙ってたんだぜ?』
あれ、なんか話が進んでる?
『……萌に酒飲ませたの、お前?』
『あぁ。だってそうしないとお持ち帰りできないだろ?』
……えっ!?
ということは、和樹くん知っててわざとあたしにお酒渡したの…?
ん?
「お持ち帰り、って……」
何?
テイクアウト?あたしを?
うーー…頭がパニックになってきた……
『申し訳ないけど、萌は僕の彼女なので』
「………っ」
うわぁ……テレビの中の霧谷くんがあたしを彼女って言ってる。
……なんか、照れる、な。
じわりと頬に熱が集まる。
霧谷くんは帰りますよ、と言ってあたしの腕を引っ張るけど、あたしは何故か嫌がってその場所を動こうとしない。
挙げ句の果てにあたし霧谷くんにジュース(お酒)すすめてる!!
あたし、昨日だけでいったいどれだけの迷惑をかけたんだろう……
『……萌』
『なぁに?きりやくん』
『このままここにいるなら、萌が物凄く恥ずかしいと思うことをしますが、それでもいいですか?』
『ほへ?はずかしいこと?』
『はい』
にこり、と霧谷くんはあたしに笑いかけた。
画面の中の霧谷くんもかっこいいなぁ……
ん?
「恥ずかしいことって、何したの?」
隣にいた霧谷くんを見るけど、霧谷くんは笑うだけ。
ゆっちゃんたちを見るとにやりと返された。
……嫌な予感しかしない。


