「おはよう、霧谷くん」
「おはよう、萌。体調は大丈夫ですか?」
「うん。えっと…昨日はごめんね?」
カラオケでジュースを飲んでから記憶があやふや、と言うかない。
けど、ゆっちゃんが言うにはあたしは霧谷くんにお世話になったらしい。
「大丈夫ですよ。むしろ僕にとってはいいことがあったので気にしないで下さい」
「いいこと?」
「はい」
いつもと変わらない笑顔で霧谷くんは穏やかに笑った。
霧谷くんにとってのいいことってなんだろう……?
「二人とも、おはよ」
「あ、ゆっちゃんおはよー」
「おはようございます」
ゆっちゃんはあたしと霧谷くんを見てにやりと笑った。
うっ……ゆっちゃんがこの顔をするときにあまりいい思い出があった記憶はないなぁ。
「昼休み、一緒にごはん食べるから空けときなさいよ」
「えぇっ!?」
どうしていきなり!?
「分かった?」
「でも、今日は霧谷くんと……」
「霧谷も来るのよ」
「へ?」
霧谷くんも?
どうして?
その疑問を霧谷くんも感じたみたいだった。
「僕も、ですか?」
「そ。いいもの見せてあげるから」
にっこりと笑うゆっちゃん……
正直に言います。
ゆっちゃん……その笑顔が怖いです。
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「流、桃ちゃん、いらっしゃ〜い」
昼休み、ゆっちゃんに連れて来られたのは使われていない教室だった。
そこには何故か峰くんもいて……
「峰くん、何してるの?」
「んー……桃ちゃんに見せてあげたいものがあるんだ〜」
そう言いながら峰くんはテレビに何か繋いでいた。
機械に弱いあたしにはよく分からないなぁ。
「よし。準備はおっけー」
にやりと峰くんとゆっちゃんは顔を見合わせた。
「?」
いつの間に二人仲良くなったんだろう……


