萌が出ていったあとのリビング。
「あーあ、萌サン分っかりやすいなぁ〜」
くすくすと楽しそうに笑う優を俺は疑わしそうに見つめる。
「お前……萌に何言ったんだよ」
あの顔の赤さ、尋常じゃないんだけど。
軽く睨み付けると、優はにっこりと笑って言った。
「ちょっとボクとボクの彼女について教えてあげただけだよ。
どういうところが好きなのか〜、とか?」
「で、優はなんて答えたんだ?」
「んー……イったときの顔?」
「…………」
こいつ、萌に自分のそういう事情聞かせたのか。
思わずため息がもれる。
だとしたら萌のあの顔も納得、か。
優は……自分でも自覚しているほどのドSだからな。
萌には刺激が強すぎる……
「じゃあ兄貴、今日は頑張りなよ〜?」
「……あぁ」
どういう意味での言葉なのかはあえて聞かないことにする。
「あ、もうすぐメールくると思うけど、今日は母さんと父さんも家には帰って来ないから」
「は?」
おい、ちょっと待て。
どういうことだ。
「だから兄貴、萌サンのこと、理性失わないように優しくしてあげなよ?」
にやり、と不気味に笑いながら優は家を出ていった。
俺は優の言葉に茫然。
聞いてないぞ……
とにかく母さんたちに確認を、と思ったところで本人からメールが届く。
その内容は
『今晩は二人でラブラブしたいから家には帰りません!!
だから、流は萌ちゃんと二人で過ごしてね。
がんばれぇ〜〜〜!!』
……というもの。
思わずケータイを床に叩きつけそうになった。
「俺が今日どんだけ我慢したと思ってるんだ……」
それを全部水の泡にして……
くしゃりと前髪を掻き上げる。
はぁ……仕方ない。
俺は改めて気合いを入れ直した。


