いつまでも霧谷くんに甘えてたらダメ……
いつもいつも、霧谷くんは優しくて。
いつもいつも霧谷くんからあたしに近づいてくれる。
あたしもちゃんと、霧谷くんに近づきたい。
「あ、萌」
あたしに気づいたのか、霧谷くんは振り返ってゆっくりと笑みを浮かべる。
「ケーキ、買ってきたよ」
「う、うん、ありがとう……」
そっとあたしは霧谷くんに近づく。
ううん……もう霧谷くんじゃない。
"霧谷くん"から卒業したんだから……っ
「萌、どうかした?」
立ち上がって不思議そうにあたしを見つめるその顔を、見つめ返すのはまだ恥ずかしくて。
でも………っ
「お、お帰りなさい……流」
い、言えた……!!
でも本人を前にして言うのはやっぱり恥ずかしいよぉ〜〜〜!
あたしの顔、今絶対真っ赤だ。
「け、ケーキ、早く冷蔵庫に入れないとねっ」
その場から逃げるようにあたしは流に背中を向けてリビングに行こうとする、けど。
「ちょっと待った」
「ぅ、ひゃあっ!!」
ぐいっと腰に手を回されて流の胸の中に背中から落ちる。
「け、ケーキが……っ」
「今はケーキより俺のこと考えてよ」
後ろから抱きしめられているから、流の顔は分からない。
でも耳元で囁くように聞こえる声に、体温が一気に上がっていく。
な、流の声、色っぽすぎるよぉ……
パニックで頭がぐるぐるしている中、流はあたしの腰に手を回したままリビングに向かう。
こ、このままじゃ……!
「ゆ、優子さんに見られちゃうよ……っ」
慌てるあたしに対して流は全然落ち着いていて。
なんとかその腕から逃げようとしたけど、流の逃げたらお仕置きだから、という言葉に抵抗をやめた。
だってお仕置きって……なんか怖いっ!!


