眼鏡の奧に見える霧谷くんの綺麗な瞳にあたしの顔が映っていた。
「き、きりや、くん……」
「違いますよ」
「はいっ!?」
何が!?
「名前、さっきはフルネームで呼んでくれたでしょう?」
「……っ!!」
や、やっぱり!!
霧谷くん、あ、あのとき起きてたの!?いつからっ!?
「桃園さんが僕の頭を撫でていたあたりでしょうか?」
「ええっ!」
どうしてあたしの考えていたことが分かったの!?
も、もしかしてエスパー……じゃなくてっ!!それ最初の方じゃない!?
えっ、待って……ということは、あああ、あたしがずっと霧谷くんのことを見てたりだとか、ひっ一人言だとか……
全部…全部聞いてたの?
ということは……
「くすくす……耳まで真っ赤ですね」
今は霧谷くんの声も遠くに聞こえる。
あ、あたし……告白、みたいなやつ……言ってた、よね?
それも?
それも聞いてたの?
……は、恥ずかしい!というか死にたい!消えたい!!
うぅー………
じわじわとあたしの目にはうっすらと涙が溜まっていった。
もう……いろいろこの状況とか恥ずかしいし、心臓バクバクだし、死んじゃいそうだ。
「はぁ……煽ってるんですか?」
「あ、あおる……?」
霧谷くんの言っていることが分からない。
むしろため息をつかれたことがショックなんですが。
「名前」
「な、名前?」
名前が何?
頭に"?"を浮かべるあたしに霧谷くんは顔を近づけた。
ひ、ひゃあ〜〜〜っ!!!
何?何?何何何?
何が起こっているのか分からないけど、あたしは反射的に目を閉じてしまった。
だだだ、だって!これ以上霧谷くんの顔が近くなったらあたしドキドキし過ぎて気絶しちゃう!!
無理無理無理!!!


