「でも……そしたらお母さんが一人になっちゃうでしょう?」
お父さんは出張だし……
「あら、それなら大丈夫よ。お母さん、お父さんの出張ついていくから」
「……へ?」
ついて、いくの……?
「じゃあ、あたしが一人……?」
そ、そんなぁ……クリスマスに一人はさすがに寂しいよぉ。
ガーン、となるあたしにお母さんはにっこりと笑う。
「だから、流くんのところでパーティーをして、そのままお世話になりなさい」
「……?」
そのままお世話……?
どういうこと?
意味がよく分からなくてお母さんを見つめる。
「どうせ帰っても一人なら、そのまま流くんの家にお泊まりして帰って来なさい」
…………え。
「い、いいの?」
「あら、別にいいわよ?」
そ、そんなあっさり……
でも、そっか。お泊まり……
クリスマス、そうしたら霧谷くんとずっと一緒にいられるんだ。
あ!でも優子さんはいいって言うのかな?
「優子さんにはもう了解はとったわ」
「お母さん、手際がいい」
じゃあいいんだ……クリスマスは霧谷くんと一緒にいられるんだ。
嬉しくて思わずにやけてしまう。
霧谷くんもそう思ってくれてるかな。
「霧谷くん……?」
霧谷くんの顔を見るとあまり嬉しくなさそう、というか悩んでいるみたいな顔をしている。
どうしたんだろ……
もしかして、嫌……だったのかな。
不安が胸の中に積もる。
「あの……本当にいいんですか?」
「あら、どうして?」
「どうしてって……」
ちらりとあたしに目を向けて、霧谷くんはお母さんの方に向き合う。


