……そろそろ本気でヤバイかも。
多分、俺も、萌も。
潮時、か……
「分かった?」
萌の顔を除きこんでそう聞くと、こくこくと真っ赤な顔で頷いた。
とりあえず満足、かな。
萌にカーディガンを着せる。
その間、されるがままにされている萌。
……多分、やりすぎたな。
「萌」
後ろからぎゅうっと抱きしめると、萌がぴくりと動いた。
「今日のこと、忘れないよ。ありがとう、萌」
「……うん」
声から嬉しそうな萌の気持ちが伺える。
「霧谷くん…」
「ん?」
振り向いて俺の顔を真っ直ぐ見つめる萌に、疑問の目を向ける。
どうした?と声をかけようとすると、萌の口が開いた。
「大好き、だよ……流くん」
カアァ、と赤くなりすぐに前を見る萌を俺は茫然として見る。
……今までで一番の衝撃、だな。
そして照れる。
萌の首に顔をうずめて囁く。
「……俺も」
俺を見てくすくすと笑う萌に、仕返しとしてその首にキスを落とす。
真っ赤な顔の萌をからかいながら、のんびりとした時間を過ごして、今日が過ぎた。
――――――――――――――――――
――――
「兄貴〜〜?」
ガチャ、という扉の音で俺は目を開けた。
「何?」
「母さんたちが、ごはんできたって」
もうそんなに経ってたのか……
「分かった」
「早くね〜」
そのまま下へ降りる優の足音を聞きながら俺は体を起こす。
そういえば、萌にメール……
今頃俺のメールを待っているのかと思うと、少し申し訳なく思う。
俺はメールを打ち、下へ降りた。
そのメールを見て、萌が真っ赤になっていることを流は知らなかった。
―――萌が大好きなら、俺は愛してる――――
Fin.


