大好きなんです





「いいよ。教えてあげる」



笑って手招きをすれば萌はトコトコと俺の方に向ってくる。



ほんと……素直すぎてたまに心配になる。


そのうちヘンな男に騙されそうで怖いな。


そんなこと俺がさせないけど。



目の前にきた萌をぐっと引いて、そのまま後ろのベッドに倒れこむ。



……軽すぎなんだけど。


ちゃんと食べてるのか?


いや、ちゃんとは食べてないか。



と、のんびりそんなことを考えていると慌てたような萌の声が聞こえた。



「ご、ごめんなさい!!今退くから!!」



退かなくても全然いいけど、と思うが、まぁいろんな意味ではヤバイ。



……逃がさないけど。


一度体を起こした萌の手を再び引いて、今度は横に向き合うようにする。



「あ、あれ?」



この状況が分かっていない萌に笑みをこぼして、俺はその頬に触れた。



「き、霧谷くん…?」



次第に赤く染まっていく姿に、さらに笑みを濃くして顔を近づける。


ぐっと一瞬だけ萌の体に力が入った。


逃げないようにしておいて正解だったな。



「萌、知りたがってたよね。相田からの誕生日プレゼント」



どんな反応をするか……



ちゅっ、と小さな音とともに萌の瞼にキスを落とす。


ぴくり、と微かに揺れる体に愛しさが積もる。



「相田がくれたのは……今日の萌だってさ」



ぽかーん、とする萌をみて、まぁ当然の反応だな、と心の中で思う。



「ど、どういう意味で……?」


「さぁ、そのままの意味なんじゃないの?」



俺の言葉の意味を考えている萌の髪をさらりと撫でる。


この感触が好きだったりするんだよな。


……そういえば



「ついでに陸真も、って書いてあるんだけど」



あ、と小さく声をあげる。



「思い当たることあった?」


「うん、多分……」



あったのか。


それはそれで気になるな。