ほんのりと頬が赤く、潤んだ瞳で見られる俺の身にもなってほしい。
またキスをしたい衝動を理性で押さえ込む。
「ありがと。大事にする」
微笑んで言うと、萌の顔にも笑顔が浮かんだ。
萌のことだから、多分すごく悩んだんだろうな……
萌が俺のために選んでくれたものだと思うだけで、この時計が特別なものに見えてくる。
しばらく眺めていると……
「あ、忘れてた」
「……どうしたの?」
「うん、えっとね……」
がさがさと萌は鞄の中身を探し始める。
「あった」
しばらくして萌が持って来たのは白い封筒。
「何、それ?」
「あたしにもよく分からないけど、ゆっちゃんが霧谷くんにって」
「相田が?」
どうしてだろう……嫌な予感しかしないのは。
「うん。誕生日プレゼントって言ってたよ?」
はい、と渡されて封筒を開ける。
何が書いてあるんだ……
中身を見て一瞬思考がストップする。
――――――――――
一応、誕生日おめでとう。
せっかくだから霧谷にプレゼントを用意したわ。
今日の萌、かわいいでしょ?
それがあたしと、あとついでに陸真からの誕生日プレゼント。
今日一日、萌のこと襲わないように気を付けなさいよ。
PS カーディガンは余計なものだから。
一度脱がせてみてもいいけど……そのときは頑張って
――――――――――
「あいつ……」
何をやっているんだ。
…………というか、なんだこれ。
顔をあげると不思議そうな顔の萌と目があう。
……相田たちの独断みたいだな。
思わず苦笑をもらしてしまう。
「???」
「相田からの誕生日プレゼント、知りたい?」
笑みを浮かべて聞くと、知りたいです、と萌は目をキラキラさせて俺を見る。


