や、やっぱりやめておいた方がよかったのかな?
「た、ただの自己満足なので、その、霧谷くんが甘いのあまり得意じゃないのは知ってるから、よかったら家の人にでも……」
な、なんか自分でも何を言ってるのか分からなくなってきちゃったよぉ。
「萌、お腹すいてる?」
「へ?えと…」
いきなり聞かれたので思わずきょとん、とした顔で霧谷くんを見上げてしまう。
お昼ご飯、準備でいっぱいいっぱいで食べられなかったんだよね。
ついでに言うと緊張とかで空腹を忘れてたから……
「んー…小腹がすいてる程度、かな?」
「そっか。俺昼ご飯まだなんだ。だから萌がつくって?」
……………へ?
「あ、あたしが?」
「うん。萌の手料理食べたいし。そのあとにケーキ食べよ」
にこりと向けられた笑顔にドキドキして、言われた言葉に嬉しくなる。
ケーキ、食べてくれるんだ。
やっぱり霧谷くんは優しいなぁ…
ふふ、と自然に笑みが溢れる。
「ここキッチン。中のものは勝手に使っていいと思う」
「うん。食べたいものって、リクエストあるかな?」
あたしは失礼して冷蔵庫の中にケーキを入れながら後ろの霧谷くんに聞く。
わぁ……すごく綺麗に整頓されてる。
霧谷くんのお母さんかな。
「萌の作るものならなんでも」
ぎゅっと後ろから霧谷くんに抱きしめられる。
「そ、そういうのが一番困るんです!」
ち、近いよぉ〜〜、と思いながらなんとか返事を返すけど……
うぅ……な、慣れない……あたし、今絶対顔赤い。
「じゃあパスタ食べたい」
「ぱ、ぱすた…わ、分かったから離れて……」
「なんで?」
少しからかっているような霧谷くんの声が耳をくすぐる。
は、恥ずかしいよぉ〜〜!!
「な、なんでも!」
なんとか霧谷くんをリビングの方に向かわせて、あたしはパスタを作る準備をする。


