「萌は中身見たらダメよ」
「言われなくても見たりしないもん」
ちょっと気になるけど……
「じゃあ、ほんとにありがとね、ゆっちゃん」
「それ何回も言われたわよ。いってらっしゃい、楽しんで」
「うん!」
ゆっちゃんに見送られて、あたしはケーキとプレゼントを持って霧谷くんの家に向かった。
「ふふ……あんなにかわいい萌を見て、霧谷がどのぐらい我慢できるかしら?」
あたしが出ていったあと、ゆっちゃんがそんなことを言っていたなんて、あたしは知らなかった。
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霧谷くんの家に近づくにつれてむ、胸の動悸が……
緊張するなぁ。
霧谷くん……ケーキ、食べてくれるかな。
プレゼントも喜んでくれるかな?
不安がぐるぐると胸の中を廻る。
そんなことを考えているうちに……
「着いちゃった……」
うぅ……なんでこういうときは時間が早く感じるのぉ。
ドキドキと鳴る胸を落ち着けて、少し震える指でインターホンを押す。
少しするとカチャリと扉が開いて霧谷くんが出てきた。
霧谷くんの私服だぁ……かっこいいな。
……はっ、少し見とれてしまった。
「萌、いらっしゃい」
「こ、こんにちは、霧谷くん」
「ん、どーぞ」
「お邪魔します…」
今日で霧谷くんの家に来るのは二回目だけど、やっぱり緊張するなぁ…
「あ、霧谷くん、冷蔵庫借りてもいい?」
「いいけど、どうして?」
「う、ぇと…ケーキ焼いて来たので」
おずおずとケーキの入った袋を出すと、霧谷くんは少し驚いたような顔をしてそれを見ていた。


