服もケーキの材料も買って、あたしとゆっちゃんは一緒に家に帰っていた。
「じゃあ萌、ケーキ作り頑張って」
「うん。今日はありがとね、ゆっちゃん」
どういたしまして、と綺麗に笑って、あたしはゆっちゃんと別れた。
「よし……頑張らないと」
霧谷くんに美味しいケーキ食べてほしいし。
自然に緩む頬を抑えながら、あたしは少し早足で家に帰った。
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「………うん。できた!」
夜ご飯が食べ終わってから、あたしは明日持って行くケーキを焼いていた。
と言ってもそんなに豪華なものじゃないんだけど……
甘さ控えめにできたかな?
はじっこを少し切り取ってお父さんとお母さんのところに持っていく。
「お父さん、お母さん、これ味見してくれないかな?」
「おっ、ケーキか」
「美味しそうね」
リビングでテレビを見ていた二人はケーキを見て嬉しそうに笑った。
うん。見た目は好評みたい。
「じゃあ、いただきます」
「ど、どうぞ」
美味しくできてるのかな……?
大丈夫かな?
不安と期待でドキドキと鳴る胸。
「ど、どう……?」
「うん……美味しいよ!」
「ほんとっ!?」
「えぇ、美味しい。萌、また料理の腕あげたわね」
にこりと笑顔を向ける二人。
「よ、よかったぁ」
うぅ……緊張が一気に緩んじゃった。
お母さんに褒められるぐらいだもん。
霧谷くんも喜んでくれるかな?
「それにしても今回は甘さ控えめなんだな」
「う、えっと…」
お父さんの一言にまたドキリと鳴る胸。
ど、どう言えば……
お母さんの方を見ると、にこりと笑顔を返された。


