と、柚とその男の顔が重なった。




頭で考えるより先に体が動いていた。


柚の肩を掴んでこちらに引き寄せ
左手をその男の頬をめがけて
振り上げ思いっきり殴る。


男はあっけなく倒れた。





そのまま柚を引いてその場から去る。
男なんかどうだっていい。


「まこっ、まことっ、待って待って!」




柚がそう言ってわずかに抵抗するが
俺は今冷静になれず、応えない。

落ち着け、自分。