待ち合わせ
今日はいつもより少し遅く出たから
もういるかもしれない。
少し急ぎ足で向かう。
あ。いた。
ミディアムのふわふわ茶髪に
細くて小柄な背中。
俺の親友である藤井柚だ。
彼女の背中だけが壁から見えていて、
すこし可笑しくなった。
ゆず。
そう声を掛けようと口を開いたとき、
柚の前に誰かいるのが分かった。
誰だ、その男は。
明るい金に染めてある髪。
見るからにチャラそう。
制服からしてうちの高校のだけど、
見たこともない顔だ。後輩か?
それにしたって何だ、親しげに。
声を掛けることも出来ず、
頭ん中でごちゃごちゃ考える。
