はちみつ飴。

…?

何か聞こえる…?

「…!!」

誰か私を呼んでいるの…?

「…に!!…なさい!!」

ん?あれっ?

「いい加減に起きなさい!!!!」

お母さんがフライパンを今にも振りかざしそうな勢いで顔を覗き込んでいた。


「…ひ!」

「ひ!じゃないわよ!もう、人を化物みたいに!」

なんだお母さんか。
もう、びっくりさせないでよね。

「えへへ、ごめんって!」

「ごめんじゃないわよ!今何時だと思ってるの!!新学期から遅刻するわよ!?」

!?!?

「嘘でしょ!?なんでもっと早く起こしてくれないのよ!」

時計に目を移すともう7時半だった。

私の通う高校は9時から始まるから急がないとまずい。

「お母さんだって起こしたわよ!まったくもう!ご飯できてるからね」

そう言ってお母さんは部屋を出て行った。

ふと外を見ると眩しいばかりの晴れ模様だった。

「ん〜今日は良いことありそう!」

背伸びをしながら体いっぱいに4月の空気を吸い込む。






下へ降りるとお父さんがちょうど会社へ行くところだった。

「綾璃(アヤリ)おはよう」

「お父さんおはよう!」

そう言えば今日は泊まり込みの仕事って言ってたっけ?

「ほらほら!お父さんも会社に遅れちゃうわよ!」

キッチンから顔を覗かせてお母さんが急かした。

「うん、それじゃあ行ってくるよ」

「あ、行ってらっしゃい!気を付けてね!」

出ていこうとするお父さんに私は声をかけた。

「行ってきます。綾璃もちゃんと行くんだぞ!」

「分かってるって!」

そう言って私はお父さんを見送ってリビングへと入っていった。

やばっ!もうこんな時間?
時刻は8時10分を指していた。

「お母さん!私ジュースだけでいい!行ってきます!!」

「もう!ご飯作っちゃったじゃないの!」

横で愚痴をこぼしているお母さんをよそに私はオレンジジュースを勢いよく飲み干して家を後にした。