私が手を見てるのに気付いた奴は、手を止めて私を見た。
「…何を考えてる?」
私の抱き締めている左腕で私を抱き直し、切れ長な目で私を見る。
別に何を考えてようが、私の勝手でしょ?
いちいち言う必要ある?
そう思ったけど、奴の鋭い双眸に捕らえられた私は素直に答えるしかない。
「…別に、あなたの手が大きいなと思っただけ」
私は下を向いて目を逸らす。
こんなことを知ったとこで奴は興味を示さないに決まってる。
奴にはどうでもいいことだし、そんなの当たり前だろとでも思うだろう。
だったら下らねぇ、そう言えばいい。
実際に下らないのだから。
すると私の頭上からふっと笑う声がした。
驚いて顔を上げると、奴は予想も出来ない行動をした。


