高鳴る胸の鼓動を抑えるように胸元の服を掴んだ。
するとその手を蓮条楓が包み込むように握り、服から手を離した。
どうしてそんなことを…
そう思いながら蓮条楓の手の動きを目で追い、その流れで奴の顔を見上げる。
奴の目はいつにもまして真剣で、それでいてどことなく優しい目をしている。
「お前はこの手で大切なものを傷つけずに守ってきたんだ。
どうすればお前を傷つけずに守ることができる」
え、なに?
この極道の坊っちゃんが傷つけずに私を守ろうとしてるの?
そしてその坊っちゃんが私に傷つけずに守る方法を聞いてるの?
ちょっと待ってよ……我慢できない
「…ふ、ふふ…っ…極道のくせに傷つけずに守ろうだなんて…フフフフ、アハハハハッおかしい」
「…あぁ?」
「ちょ、痛いって!痛い痛い痛いから!」
堪えきれず爆笑すれば奴はすぐに私の頭を力強く掴んだ。
ギブと言わなければ頭蓋骨が割れそうな勢い。
笑うのと奴が与える痛みによって折れた手首にも痛みが響く。
ごめんなさいごめんなさいと必死に謝れば、気が済んだのか私の頭から奴の手が離れた。
頭の形変形してないかな、大丈夫かな。
心配しながらも考えさせられるのは奴の質問のこと。


