何も言い返せなくなった私を見て、奴は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。




奴の顔を見ると腹立たしくなる。
私はどうしてあんなことを素直に言ってしまったのだろうと、自分にも苛立つ。




そもそも借りは受けたものが自分の意志で返すものじゃ…




「…これで契約完了だ」




借りについて考えていた途中で唇に噛みつくようにやって来た奴のキスによって、思考は停止した。




そのまま押されるようにしてベッドに倒され、怪我して動けないことをいいことに私にキスの嵐を降らせる。




いつの間にか出来てしまった奴への借りは、奴との契約へと変わった。