「…っ!ハァ…ッ……ハァ…」




目を開けると黒い天井が真っ先に映る。
ここは、奴の部屋だ。




息が上がっていて、左手は胸元の服を力強く掴んでいた。




体が熱くて、頬や腕が痛い。
左手を服から離して、痛む頬を軽く触れる。




頬には大きなガーゼがついていて、誰かが手当てしてくれたのだと分かる。




真っ黒なベッドからゆっくりと上半身を起こす。




右腕は肩から指先まで包帯が巻かれている。
そして私は黒いタンクトップを着ている。




そっか。
こっちは真姫に投げられた時に壁に思いっきりぶつかった方だった。




こんなに体が痛くて熱いから、あんな最悪の夢を見るんだ。




汗のせいで服が張り付いて気持ち悪い。
とりあえずタオルで体でも拭こう。




「…いっ…!」




思いっきり壁にぶつかったせいで右半身が痛む。
立ち上がろうとしても今度は右足が痛み、バランスを崩す。




咄嗟にベッドの縁の方に手をつく。
でもベッドのような弾力はなくて。




硬い。ベッドにこんな硬いところあったっけ…?




「……あ、…」




手をついた方を見ると、そこにはベッドに伏せて寝ている奴が。