「ちょっと、楓様は殺さない程度に痛めつける約束でしょ!楓様はアタシのものにするんだから」




カツカツとヒールの音を鳴らして私の視界に入った女に、目を見開く。
その女を見た瞬間、男達が私のことを知っている理由を知る。




「…なるほどね。
あなたが絡んでたから、こいつらは私のことを知ってたのね」


「そうよ?
No.2に見下される気分はどう?No.1の黒百合さん?」




ニヤリと笑って腕を組み、私を見下すその女はキャバクラ胡蝶のNo.2、真姫。




私が奴に連れて行かれた時、真姫もあの場にいた。
それからこいつらを使って、奴の家に張り込ませ私を攫う時を待ってたってわけか。




それで私を攫って奴をおびき寄せ、弱ってるところを自分のものにする。




真姫のやりそうな汚い手。
そんな手を使っても奴は手に入らないのは、明白なのに。




「あ゛?
蓮条楓は殺さないと俺らの族が大きくならないんだよ。
あいつとは蓮条楓を殺す約束しちまったし」


「だったらアタシの条件を優先して。
黒百合の居場所も突き止めて、情報も与えたでしょ?


殺したって言っとけばいいのよ。
なんの協力もしてない奴等の約束なんか、鵜呑みにする必要ないわ」




何やら私には理解出来ないことで揉めている。
私はその間に周りの様子を見た。




ここは倉庫のようなところらしく、どうやらこの男達の族の倉庫のよう。




他にも数人の族がいる。




そして篠と弥生はここにはいない。
篠と弥生、無事なのかな?