流川と私。


二人でコーヒーをすすって。

 
飲み終えるころにはすでに午前二時になってて。


 
明日のバイト、休みで良かったぁ…


カップを片付けようと立ち上がれば。



「これも」



…自分でやれって。



そのうち、何がきっかけになったのか分からないけれど、また、あのベランダから見た光景の話になって。

 
不穏な雰囲気に。



「友達から、聞いてるんだからねっ」


「なにが」


「アンタ…る、るか…」

 
 
…なんて呼べばいいんだ?


 
『流川さん』…って、さん付けもしゃくに触る。
 

 
かと言って『流川』って呼び捨ても…

 
 
一応、先輩なわけだし…
 
 
 
『直人さん』?

 
 
…なんか違うよな。



「何なんだよ。早く言え、ボケ」


 
ぬぁにぃ?


こ、こんなヤツ!

 
呼び捨てで十分だっ。



「流川直人は、夜な夜な女あさりしてるって!」

 
 
う…

 
自分で言って、自分で恥ずかしい。

 
女あさりって…



「へぇ~、有名だな、俺も」


 
なんだその、他人事みたいなセリフは。