……ん?

 
倒れたのに痛くない。

 
 
柔らかいような、若干、硬いような…

 
そんな、背中の下の感触。


 
ほうっと息を吐いて、閉じていた目を開けば。

 

「!!!!!」


 
天井があるはずの場所に、流川の顔。



「や、なん…」


 
腕をつかまれて倒れこんだ場所は、流川の膝の上だった。

 
おしりの下にソファの柔らかさ。

 
背中から上は、少々固めの流川の太ももの感触。

 
 
ほんのり温かくて。

 
のぞきこまれたまま、動けない。



「お前さ、これで二回目だぞ、俺に倒れこんでくんの。玄関ではいきなり気を失うし、今は、これだ」


 
口角が、くいと上がる。

 
右腕はまだつかまれたままで。

 
左手は私の腰あたりに添えられている。



「や、や、や…」


 
起き上がろうとお腹に力を入れたけれど。

 
首がカクカクと持ち上がるだけで。


 
う、運動不足。
 
 
腹筋なさすぎっ、私。