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 オネエマン
    パラダイス

  らぶりー留美
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「なんで…?」


 出てきたのは。

 忘れもしない、オネエマンパラダイスの名刺。


「“らぶりー留美”って」


 なんじゃそりゃ。

 唖然と名刺をみつめる私。


 もしかして…

 トイレで遭遇した、あのでっかいオネエマン?

 らぶりーって雰囲気はまったくないけど?


 っていうか。

 なんでこんなとこに「オネエマンパラダイス」の名刺なんか入ってるわけ?


「…流川…しかいないよね」


 カエルをいじっていたのは、私か流川だし。

 オネエマンパラダイスの名刺を持ってるなんて…

 どう考えたって、流川だけだし。


「ご丁寧にこんなとこにしまっとくなんて」


 変なヤツ。

 やっぱりちょっと、あのオネエマンと何かあったのか?


 ………。


 い、いや…考えるのやめよ。

 気持ち悪い。。



 この名刺の出現によって。

 要くんとの電話のやりとりでいっぱいだった頭のなかに、

 流川の顔が割り込んできて。


『終わりになんてしないほうがいい』


 麻紀に言われた言葉。

 
「流川…なにしてるだろ」


 胸元にまだ残るキスマーク。

 
 そっとその部分に手を当てて、

 あのときの流川を、思い出していた。